10月22日、即位の礼において3番目の国事行為である「即位礼正殿の儀」が執り行われる予定です。
新天皇が即位を国内外に宣明する、一連の即位の礼の中でも最重要となる国事行為です。
新天皇が皇居正殿「松の間」に置かれた「高御座(たかみくら)」でおことばを読み上げられます。
前回は国内外の要人およそ2500人が招待され、今回も同規模の招待が見込まれています。
儀式の後はオープンカーによるパレード(「祝賀御列の儀」)と「饗宴の儀」がいずれも国事行為として実施されます。
写真は前回・平成の即位礼正殿の儀。
翌日10月23日には首相夫妻主催の晩餐会が紀尾井町のホテルニューオータニで開催される予定です。
海外の要人900人が出席する予定で、狂言師の野村萬斎氏がアドバイザーを務めます。
萬斎氏は式典事務局に「親から子に引き継がれていく要素を入れてはどうか」とアドバイスしたそうです。
萬斎氏は2020年五輪開会式の担当もするので、同じコンセプトを使う可能性もあるかもしれないと言われています。
即位礼5番目にして最後の国事行為である、新天皇即位を披露する祝宴が「饗宴の儀」です。
今回は10月に計4回行われる予定で詳細は以下のごとくです。
10月22日 外国賓客夫妻・三権の長夫妻 450人
10月25日 三権の長夫妻・元皇族、ご親族・民間関係者ら 450人
10月29日 国会議員・自治体関係者・民間関係者ら 850人
10月31日 駐日大使夫妻・三権の幹部ら 850人
これでも前回よりは縮小されています。
前回は1990年11月に4日連続で7回饗宴が催され、のべ3000人が招かれたそうです。
画像は前回の饗宴の儀のもの。
第1回にはイギリスチャールズ皇太子・ダイアナ妃など外国要人ら340人が出席しました。
主席者の数が多いため、このような席ではフランス料理でもてなすのが慣例でしたが和食になりました。
フレンチは温かくして出すものが多いが和食は冷たくてもいいメニューが多いので、管理がしやすいためです。
下画像は過去の宮中晩餐会で使用された品々。
ちなみに晩餐会では抹茶アイスを使用した富士山型アイスを出すのが明治時代からのしきたりで、今回のトランプ大統領夫妻のもてなしにも提供されたそうです。
過去の饗宴の儀で使われた品々は、泉屋博古館で5月10日まで特別展示されました。
明治天皇七女・北白川宮妃房子殿下のドレス
絹の生地にバラの花を刺繍しスパンコールにビーズを大量にちりばめた豪奢な造りです。
当時肌を見せない和装の文化から露出の多い洋装を広めるのに、皇族が率先してドレスを着ることで一役買ったという歴史が伝わってくる一品です。
伊藤若冲の絵を再現したつづれ織の壁掛け。
若冲の絵を色の濃淡も忠実かつ精密に再現しています。
帝室技芸員という今の人間国宝に当たる人が作成した物です。
鶴亀型ボンボニエール。
ボンボニエールとはボンボンなど小さい菓子を入れる入れ物です。
結婚25周年式典に宴の出席者621人に配られた品です。
銀婚式は西洋の風習ですが、これも西洋化を皇室が率先して担ってきた歴史の一端を示す品といえるでしょう、
大正天皇即位礼のボンボニエール。
大嘗祭で使われる「柏葉箱(左側)」「入れ目籠(右側)」のデザインです。
即位の儀式は大別して3種類に分けられます。
・三種の神器を継承する「剣璽等承継の儀」
・即位を宣言する政治ショーとしての「即位礼正殿の儀」
・宗教的儀式としての「大嘗祭」
そしてこれらにそれぞれ付随する種々の儀式が存在します。
前回は「即位礼正殿の儀」の10日後に「大嘗祭」が行われましたが、あまりに過密な日程だというので今回は3週間を挟むことになりました。
天皇は五穀豊穣を願う「新嘗祭」を毎年執り行いますが、即位の年にはこれが特別に「大嘗祭」となります。
この大嘗祭を経て、天皇は神性を身につけ真の天皇になるとされています。
宗教的側面がつよいので、国事行為ではなく皇室行事の扱いになっています。
2020年4月19日には、秋篠宮殿下が正式に皇位第1位継承者たる「皇嗣」となったことを定める「立皇嗣の礼」が執り行われる予定です。