今年3月から天皇代替わりに関して挙行された退位の礼と即位の礼について。
まずは退位の礼について簡略に。


2016年8月8日、前天皇陛下が(現上皇)が退位の希望を発表されました。
しかし明治以降天皇は一世一代が原則で、皇室典範にも退位に関する規定がないため閣議決定で「退位に関する皇室典範特例法」が制定されることになりました。


2019年2月24日、御在位30周年式典が千代田区の国立劇場において開催されました。
首相の祝辞、前天皇陛下のおことばが述べられました。

退位までの儀式は11あり、これらは今回特別に規定されたものということになります。

3月12日、最初の儀式「賢所に退位及びその期日奉告の儀」が行われました。
前天皇陛下が古式装束で天照大神を祀る宮中賢所(宮中三殿)に参拝し、「退位すること」「退位の日が4月30日であること」との「御告文(おつげぶみ)」を読み上げられました。

001

同日、第2の儀式として皇霊殿(皇室の祖先を祀る)と
神殿(国内の神々を祀る)にも拝礼されました。

002


3月25日、第6の儀式として前天皇ご夫妻は奈良県橿原市の神武天皇陵に参拝されました。

神武天皇陵
神武天皇陵



4月18日、第7の儀式として「神宮に親謁の儀」が執り行われました。
前天皇皇后両陛下は伊勢神宮・外宮・内宮の順に参拝し、天照大神に退位を報告されました。
これは在位中最後の地方訪問となります。

4月30日、11の儀式の中で最後にして最重要の「退位礼正殿の儀」が国事行為として皇室・宮殿「松の間」で執り行われました。
首相が国民を代表してあいさつをし、天皇陛下が最後のお言葉を述べられました。
前天皇陛下の最後の行事となるこの儀式は退位礼の中心です。
退位を広く国民に知らせ、国民の代表に会うという最後の国事行為です。

退位の儀式

1・天皇皇后両陛下の出御
2・侍従が剣・勾玉・御璽(天皇御璽と刻まれた印)・国璽(「大日本国璽」と刻まれた印)を捧持して入場
3・首相の寿辞
4・天皇陛下のおことば
5・両陛下退出
6・侍従が宝物を捧持して退出

これをもって天皇は上皇となられ、宝物は翌日の即位礼に用いられることになります。


持統天皇に始まり光格天皇に至るまでの歴史的な「上皇」は「太上天皇」であり、今回の「上皇」の称号とは厳密にはことなるものです。
称号に「天皇」が含まれると現天皇との二重権威状態になる恐れがあるとの懸念から、「太上天皇」の略ではないただの「上皇」とされ、特例法もそのように規定しています。
それに伴い、これまで崩御した天皇の后は「皇太后」と呼ばれましたが、今回は「上皇后」となることも特例法で定められました。
敬称はご夫妻とも「陛下」のままです。
テレビ報道では「上皇さま」と呼称することが多い印象ですが、「上皇陛下」で構わないようです。
また「昭和天皇」などのように元号に天皇を付けて呼称するのはご本人が崩御後のことなので、上皇陛下御存命中に「平成天皇」と呼ぶのは適切ではありません。

退位後はすべての国事行為が現天皇が引き継ぎ、公務もそうなるであろうといわれており、上皇は私的な活動に専念されるであろうとの見通しです。

退位後のお住まいは、在位期のお住まいであった皇居御所を前皇太子(現天皇)ご一家のお住まいであった赤坂御用地の東宮御所と交換して居住されることになります。
ただ改修の必要があるので、完成までの1年半ほどは高輪皇族邸に住まわれる予定です。
東宮御所に移住後は、当地は仙洞御所と呼ばれることになります。
秋篠宮ご一家は引き赤坂御用地の秋篠宮邸に住まわれるそうです。

上皇は皇位継承権を持たず、皇族会議の議員資格・摂政の資格も持たないとされています。
ただし、上皇后は後者の2つは保有しています。

今回の退位は時限立法である特例法に基づくものなので、皇室典範に退位の規定がないことに代わりはありません。
そのため今後再び天皇の退位・譲位という意向が示されても今回の特例法が適用されることはないが、先例として尊重されることは間違いないといわれています。


(参考画像)ワイン専門店が新元号的中させた人にビンテージワインプレゼントの企画での応募結果

018


(参考画像)元号制定の歴史で過去何度も候補に挙がるも不採用になった元号候補
017